大里川ポンプ場視察Q&Aから

資料

大里川ポンプ場視察から、Q&A
2026年6月25日 浜区役員による視察が行われました。視察の中で、出された質問と回答をまとめました。(文責、亀谷義富)

(1)大里川ポンプ場における浸水対策および津波(高潮)対策の具体的な仕組みは、主に**「水門による遮断」と「ポンプによる強制排水」**の2段階で構成されています。
1. 津波・高潮対策:海水の逆流防止
海位が上昇した際(津波や高潮時)、海水の逆流を防ぐために以下の措置が取られます。
水門の閉鎖: 海の水位が上がったことを検知すると、水門を閉めて海水の流入を物理的に遮断します 。
事前の待機と閉鎖: 台風や大雨が予想される際は、満潮時間の約2時間前から職員が待機し、逆流を防ぐために水門を閉鎖します。
構造的な優位性: ポンプ場内の放流先の高さ(天端)は、海側の堤防(約5m)よりも高く設計されているため、海位が上昇しても物理的に海へ水を押し出すことが可能です。
2. 浸水対策:内水の強制排水
水門を閉めた状態で上流から雨水が流れてきた場合、以下の仕組みで排水を行います。
ポンプによる汲み上げ: 水門を閉めているため、溜まった内水をポンプを使って強制的に汲み上げ、海側へ放流します。
稼働プロセス: 真空ポンプで空気を抜いて水を吸い上げ、満水になったところでエンジンを始動し、出口を開けて排水を開始します。1台の稼働準備に約5分、2台合計で約10分のタイムラグを経てフル稼働します。
排水能力: ポンプは直径約1.35mのものが2台あり、1秒間にプール1杯分(約25mプール相当)を排水するような巨大なポンプ場(淀川の毛馬など)と比較されるほどの能力を有しています。
3. 運用とモニタリング
確実な対策を実施するために、以下のような運用がなされています。
水位の監視: 水位計と監視カメラを使用し、色分けされたライン(黄色や赤色)を目安に判断します。
早期稼働: 危険な赤ラインに達する前、下から3つ目の「黄色のライン」の段階で早めにポンプを回し、水位を下げておく運用が行われています。
ゴミの除去: ポンプの故障を防ぐため、排水の過程でスクリーン(除塵機)を通し、ゴミを取り除いています。
なお、過去に周辺で発生した浸水被害(平成4〜5年頃)は、リンクタウン埋め立て工事中の仮設排水管(コルゲートパイプ)が浮上して塞がってしまったことが原因であり、ポンプ場自体の能力不足ではなかったと説明されています。現在の設備は、過去最大級の潮位を記録した平成30年の台風21号の際にも正常に機能した実績があります。

(2)平成4年から5年頃に発生した大規模な浸水被害の具体的な原因は、ポンプ場の能力不足ではなく、当時行われていた**りんくうタウンの埋め立て工事に伴う「事故」**でした。現在の対策と併せて詳述します。
1. 平成4年頃の浸水被害の具体的な原因
仮設排水管の浮上: 当時、大阪府企業局が実施していた埋め立て工事のために、仮設の排水路として**「コルゲートパイプ」**と呼ばれる波付管が設置されていました。大雨の際、この巨大なパイプが水の勢いや浮力で浮き上がってしまいました。
排水路の閉塞: 浮き上がったパイプが本来の排水ルートを塞ぐ「堰(せき)」のような状態になり、雨水が海へ流れなくなりました。
内水の逆流: 行き場を失った水が市街地側へ溢れ出し、場所によっては大人の腰の高さ(約2〜3m)まで冠水し、車が水没するなどの甚大な被害をもたらしました。
当時の状況: ポンプ自体は稼働できる状態でしたが、排水先が塞がっていたため、いくらポンプを回しても水が循環するだけで排水できないという特殊な状況でした。
2. 現在の対策と改善点
現在は、当時の教訓を踏まえ、ハード・ソフト両面で対策が強化されています。
雨水幹線の整備(バイパス機能): 国道26号線のバイパス下に、新たに**「雨水幹線」**が整備されました。上流に取水口を設け、雨水をこの幹線へと逃がすことで、ポンプ場に流れ込む水の総量を大幅にカットしています。
早期稼働の徹底: 水位計と監視カメラで24時間体制のモニタリングが行われています。危険な「赤ライン」に達するのを待たず、その2段階手前の**「黄色のライン」の時点でポンプを稼働**させ、事前に水位を下げておく運用が徹底されています。
高潮・津波への構造的対応: 放流先の高さ(天端)は、海側の堤防(約5m)よりも高く設計されています。これにより、海位が上昇しても物理的に海へ水を押し出すことが可能です。
定期的なメンテナンス: いざという時に確実に動くよう、月に2回は実際にポンプを回す点検が行われています。
これらの対策により、平成30年の台風21号(過去最大の潮位を記録)の際にも、浸水被害を出すことなく正常に機能したという実績があります。また、将来的には約45〜50億円を投じてポンプ場全体の建て替えを行う構想もあり、さらなる防災能力の向上が検討されています。

(3)大里川ポンプ場がつくられた経緯と、その後の管理の変遷については以下の通りです。
1. 建設の時期と主体
大里川ポンプ場は、昭和52年(1977年)に大阪府港湾局によって建設されました。建設から約50年が経過していますが、メンテナンスを行いながら当時の機械が現在も稼働しています。
2. 建設の背景と目的
主な建設の背景には、りんくうタウンの埋め立て工事が深く関わっています。
海岸線の変化: 埋め立てによって海岸線の形が変わったことに伴い、排水や防潮の機能を維持するために整備されました。
複合的な防災対策: 単なる下水道施設としてだけでなく、津波対策や高潮対策を主目的として作られました。海位が上昇した際に水門を閉め、上流から流れてくる内水をポンプで強制的に排出する役割を担っています。
過去の災害教訓: 建設当時は、それよりさらに数十年前に発生した台風による浸水被害などの実績を参考に、設計・設置が行われました。
3. 管理権限の移管
建設当初は大阪府が管理していましたが、りんくうタウンの埋め立てが完了した後の**平成18年度(2006年度)に、下水道施設として泉南市(下水道課)**が引き継ぎました。現在は、市から民間業者へ管理が委託されています。
4. 施設の更新計画
現在の施設を稼働させながら、隣接する公園(元保育所跡地付近)に新しいポンプ場を建設し、機能を移転・拡張する建て替え構想が進められています。これは、施設の老朽化や近年の物価上昇、他の公共施設の建て替え状況などを踏まえ、将来的な防災能力を確保するための計画です 。

(4)大里川ポンプ場では、いざという時に確実に設備が動く状態を維持するため、月に2回、実際にポンプを稼働させる点検を行っています。
この点検で確認している具体的な内容は以下の通りです。
動作の確実性: 緊急時にポンプが動かないという事態を防ぐため、実際にエンジンを始動させ、ポンプを回して正常に動作するかを確認します。
不具合の早期発見: 実際に稼働させることで、何らかの故障や問題(不具合)がないかをチェックし、異常があればすぐに発見できるようにしています。
試運転の実施: 施設内の水槽(エンジン下の水槽など)で水を循環させて回すことができるため、外部の状況に関わらず「試運転」として入念に動作確認が行われます。
このように、定期的に「動かすこと」そのものを点検の主眼としており、機械のメンテナンスや部品交換を適切に行いながら、昭和52年の建設当時からの設備を維持しています。

(5)大里川ポンプ場の建て替え計画(更新構想)については、老朽化への対応や将来的な防災機能の強化を目的として、以下のような具体的な内容が検討されています。
1. 建設予定地と手法
場所: 現在のポンプ場に隣接する**公園(元保育所跡地付近)**に新しいポンプ場を建設する計画です。
運用の継続: 既存の施設を稼働させたまま隣接地に新設し、完成後に機能を切り替える手法が取られます。
公園の移設: ポンプ場の建設に伴い、現在の公園は元保育所があった場所(浜つき付近)へ移設される見込みです。
2. 事業規模と予算
概算費用: 建て替えには約45億〜50億円という巨額の費用が見込まれています。
物価上昇の影響: 資材価格の高騰などにより、建設コストは年間に約4%ずつ上昇しているとの指摘があり、早期着手が費用抑制につながるという側面もあります。
3. 実施時期と優先順位
現在の状況: 直近ですぐに着工できる段階ではなく、現在は**「構想」の段階**です。
他事業との兼ね合い: 泉南市内では、小学校や義務教育学校の建て替え、ゴミ焼却施設の整備といった大規模な公共プロジェクトが先行しており、これらとの兼ね合いで優先順位が判断されることになります。
今後の見通し: 現在進んでいる他の大型プロジェクトの次にエントリーされる可能性があるものの、最終的な時期は首長の判断に委ねられています。
4. 建て替え後の展望
機能強化: 新しい施設では、水門なども含めたシステム全体の更新が期待されています。
跡地の活用: 新施設完成後に空き地となる現在のポンプ場敷地については、防災資材の備蓄場所としての活用などが検討されていますが、現時点では未定です。
なお、この建て替え計画とは別に、短期的・緊急的な対策として、令和8年(2026年)3月までに水門を取り替える工事が予定されています。これはポンプ場全体の建て替えに先駆けて実施される重要な設備更新となります。

(6)令和8年(2026年)に予定されている大里川ポンプ場の水門取替工事に関する具体的な内容は以下の通りです。
工事の時期: 令和8年の秋頃から着工し、冬から春にかけて工事を行い、令和9年(来年)の3月までに完了させる予定となっています。
工事の内容: 老朽化した既存の水門(スクラップおよび付随する設備)を新しいものへと取り替える工事です。
実施の背景: ポンプ場全体の建て替えには巨額の費用と時間がかかるため、その「構想」とは別に、まずは緊急性の高い設備である水門の更新を先行して実施するものです。
施工に関する事項: 業者(丸島アクアシステム関連と推測される名称が挙げられています)との調整が進められており、この工事によって津波や高潮に対する遮断機能の確実性を高めることが目的です。
この水門取替工事は、将来計画されている約45〜50億円規模のポンプ場全体の建て替え(更新構想)とは別の、直近で実施される重要な設備更新として位置づけられています。

(7)令和8年(2026年)秋から予定されている水門取替工事期間中の津波対策については、提供された資料(視察記録)の中に工事中の具体的な仮設設備や代替手段についての直接的な記述はありません。
しかし、資料からは以下の関連する方針や計画が読み取れます。
「動かしながら」の更新方針: ポンプ場全体の建て替え構想に関する説明の中で、「この施設を動かしながら新設する」という基本方針が示されています1。水門の取替についても、既存の防災機能を維持しながら進められることが示唆されています。
リスクの低い時期の選定: 工事スケジュールは、令和8年の秋に着工し、**「冬から春(3月まで)」**にかけて実施される予定です。資料内では、潮位が高くなりやすく台風が来る時期を「8月から10月くらい」と述べており、取替工事はそのピークを避けた時期に設定されていることがわかります。
機能維持のための先行実施: 今回の水門取替は、約45〜50億円をかけるポンプ場全体の建て替え(構想段階)を待たずに、**「緊急性の高い設備」**として先行して実施されるものです。これは、いざという時の遮断機能を確実に確保することを最優先としているためです。
工事中の具体的な防潮措置(仮設のゲートや土のうの設置など)については資料に詳しく記載されていないため、もし詳細が必要な場合は、実際の施工計画や市の担当課への確認が必要な情報となります。

 

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Posted by 男里浜の宮